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「HMB」機能性表示食品をめぐるもう1つの問題

<「機能性関与成分名の見直し」で届出を撤回>

 HMBを機能性関与成分とする機能性表示食品について、消費者庁は8日、2件の届出撤回を公表した。

 撤回されたのは、小林香料(株)のサプリメント『小林HMBパウダー』と『小林HMBタブレット』。撤回した理由については、「機能性関与成分名の見直しのため」と説明している。2件は、機能性関与成分名を「3-ヒドロキシ-3-メチルブチレート(HMB)」としていた。

<求められる正確な機能性関与成分名>

 HMB配合の機能性表示食品をめぐっては2018年に、各社が届け出た「歩行能力の改善」の表示が、医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触するのではないかという疑義が発生。また、「歩行能力の改善」に関する研究レビューが不適切という問題も内包していた。このため、18年の秋頃から昨春にかけて、多数の届出企業が相次いで届出を撤回した。

 「歩行能力の改善」という表示の問題は、各社の届出撤回によって一段落した。しかし、HMB配合の機能性表示食品の問題はほかにもある。

 前述したように、小林香料(株)は「機能性関与成分名の見直しのため」、届出を撤回した。同社が用いる原料(成分)は、HMBをカルシウムに結合させて粉末化したもの。正確に言えば「HMB」ではなく、「カルシウムビス-3-ヒドロキシ-3-メチルブチレートモノハイドレート(HMBカルシウム)」となる。

 機能性関与成分名で問題となった事例として、グルコサミンを配合した機能性表示食品がある。当初、各社は「グルコサミン」を機能性関与成分名として届け出ていた。しかし、疑義が発生し、「グルコサミン塩酸塩」として届出をやり直すという事態に発展した。今回のHMBの機能性関与成分名をめぐる問題も、グルコサミンと類似した部分があると言えそうだ。

 食品表示法の食品表示基準により、「科学的根拠を有する機能性関与成分および当該成分または当該成分を含有する食品が有する機能性」について「消費者庁長官に届け出た内容を表示する」ことが義務づけられている。このため、機能性関与成分名が不適切な場合、届出資料の修正ではなく、届出のやり直しが必要となる。さらに、届出ガイドラインでは、届け出た機能性関与成分、製品に含まれる成分、試験研究に用いた成分に、齟齬(そご)がないことを求めている。

 これらを踏まえると、HMBカルシウムを原料に用いながら、機能性関与成分名を「HMB」として届け出た場合、本来ならば届出の撤回が求められると考えられる。

<引き続き届出の撤回も>
 
 HMB配合の機能性表示食品の届出各社は、「歩行能力の改善」の表示で指摘を受け、新たに届出を行った。その際に、各社は機能性関与成分名を「HMB」から「HMBカルシウム」に変更している。現状を見ると、ほとんどの届出で機能性関与成分名を「HMBカルシウム」に変更済みだ。

 これに対し、HMBカルシウムを配合した製品で、機能性関与成分名を「HMB」としている届出は5件程度(1月8日現在)ある。これらについては、届出の撤回を求められる可能性があると言える。

 一方、今年度に届出が公表された1件については、HMBカルシウムとは区別して流通されるHMBフリー体(またはHMB遊離酸)を用いたことから、機能性関与成分名は「HMB」とされている。この届出については、機能性関与成分名に関する疑義は発生しないとみられる。

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