「食事摂取基準2020年版」の方針を取りまとめ
<高齢者のフレイル予防を位置づける>
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準策定検討会」は22日、2020年度から使用する食事摂取基準(2020年版)の策定方針を取りまとめた。厚労省は今月末までに報告書(案)を公表する予定。来年度にパブリック・コメントを経て、報告書の確定版を公表し、「食事による栄養摂取量の基準」を告示する。
食事摂取基準2020年版は、高齢化の進展に対応するため、生活習慣病の発症予防や重症化予防に加え、高齢者のフレイル予防も視野に入れている。発症予防を目的とした「目標量」の設定で対象とする生活習慣病を「高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病」とし、高齢者のフレイルも検討の対象に加えた。
高齢者のフレイル予防として、たんぱく質は男女ともに50歳以上の「目標量」を引き上げる。50~64歳は目標量(%エネルギー)の下限値を現行の13%から14%へ変更。65~74歳と75歳以上は15%へ引き上げる考えだ。
生活習慣病の発症予防では、ナトリウムの目標量を引き下げる。また重症化予防では、ナトリウムとコレステロールについて、発症予防を目的とした「目標量」と区別して、摂取量の基準を設ける。具体的に見ると、ナトリウムは高血圧と慢性腎臓病の重症化を防ぐための量(食塩相当量)を男女ともに「6.0g/日未満」とする。コレステロールは、脂質異常症の重症化予防のために「200mg/日未満」に留めることが望ましいとしている。
脂溶性ビタミンは、特にビタミンDについて検討が進められた。ビタミンDの必要量として、米国・カナダの食事摂取基準の推奨量から日照による産生量を差し引いて、摂取実態を踏まえた「目安量」を設定した。
(写真:22日に開かれた検討会の冒頭)