「認知20%、摂取者15%」(消費者庁・森田室長)~認証制度協シンポ(中)
消費者庁食品表示企画課保健表示室の森田剛史室長は、機能性表示食品制度の成り立ちから経緯、制度運用の現状と課題について紹介した。同じ保健機能食品制度に位置づけられる特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品との違いについても説明した。
2015年4月にスタートした機能性表示食品制度は国が許可するトクホや規格基準型の栄養機能食品制度とは違い、事業者の届け出によって販売できる新しい制度。最終製品を用いた臨床試験のほかに、システマティック・レビュー(SR)という文献評価によって機能性を表現することもできる。また、生鮮食品も届け出することのできる新しい制度だと強調した。
2015年度末でトクホの許可件数が1,200件を超えたのに対し、機能性表示食品が300件弱という公表件数だったが、現在はトクホが1,000件強で横ばいなのに対して機能性表示食品は年間1,000件程度公表されるとし、年を追うごとに公表件数が増加している現状を紹介した。
また、発足当初は「その他の加工食品」の公表が多かったのに対し、今では「サプリメント形状」の食品が逆転している状況もパワーポイントで示した。生鮮食品については100件を超え、「だいぶ届出が伸びてきている状況だ」と説明した。
届出から公表に要する日数についても明らかにした。発足当初は55日を目標としていたが、今では50日程度で処理しているという。2019年6~7月頃に50日程度だったのが、一時、30日程度まで短縮したが、コロナ禍の影響によって再び50日程度の運用に戻ったと説明。ただし今では、テレワークによるチェック体制も充実、さらに業界団体の事前確認制度も始まったことにより、公表までのさらなる短縮化を図っているとのことである。
販売状況については、2021年度に公表した商品が509件ほどあるが、このなかで実際に販売されている商品は37件程度。一方、20年度に公表された商品は1,000件強に対して600件強が販売中。また、2016年度、2015年度に公表された商品については販売休止中が増えているとし、「ある程度時が経つと、一旦、売るのを止める傾向にあるようだ」と分析した。
消費者意向調査で分かった認知度や摂取経験も明らかにした。認知度は「トクホ」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」を比較したところ、トクホが3割を超える程度であとは2割前後で推移。摂取経験に関しては、2割がトクホ、栄養機能食品が1割強で、「機能性表示食品はその間くらい」と説明。「それほど高いわけでもなく、知っているというほどのものではない。見たこと、聞いたことがあるけどよく分からないという感じの方が非常に多い」とし、今後、普及啓発の取り組みが重要だとした。
その方法として、シンポジウムや意見交換会、ウェブサイトの改変、政府広報やラジオの活用などを挙げた。ホームページについては、以前と比較して視認性を高める取り組みを進めている点を強調した。
このほか、公表されている商品形態、原材料、機能性関与成分などの傾向についても紹介した。
(つづく)
【田代 宏】