「良い製品を選択できる仕組みを」(信川理事長)~認証制度協シンポ(後)
(一社)日本健康科学学会・信川益明理事長の司会でパネルディスカッションが行われた。出席者は厚生労働省新開発食品保健対策室・今川正紀室長、消費者庁保健表示室長・森田剛史室長、(一社)日本健康食品認証制度協議会・小島正美委員、岐阜医療科学大学薬学部・宗林さおり教授、(公財)日本健康・栄養食品協会健康食品部・増山明弘部長の5人。
小島・宗林・増山3氏はそれぞれ、「機能性表示食品をメディアはどう報じているか」、「セルフケアにおける健康食品の位置づけ」、「健康食品の品質確保と認証・認定制度について」というテーマで講演。その後、今川・森田亮室長を交えて討議した。
小島氏は、「健康食品の健全な成長があったかどうか」、「健康寿命の2年間の延伸があったか」、「機能性表示食品の数は消費者が選択するに足る十分な数になったか」、「消費者庁の情報公開度」、「届出情報データベースは使いやすくなったか」、「表示は分かりやすいか」、「悪質な製品は排除されたか」、「医師との連携により健康食品が賢く利用されるようになったか」、「安全性のマークは普及したか」、「メディアが科学的根拠に基づき正しい報道を行っているか」の10項目について、〇△×印で評価した。
宗林氏は、現代におけるセルフケアの重要性を指摘。消費者がセルフケアを推進する上で、選択肢の1つである機能性表示食品の一層のレベルアップに期待した。
国民生活センターに寄せられる健康被害相談のなかには、悪質な定期購入を解約したいがために相談してくる消費者も多いとし、事業者の販売方法や表示、機能性成分の含有量が適正かどうか、崩壊性試験などについて、第三者によるチェック機関の設置が望ましいとした。
また、厚労省が実施している「指定成分の届出の義務化」について、良い制度だと評価する一方、「国民のなかで指定成分って書いてあると、これ(体に)良い成分が入ってるんだ、国が認めている良い成分なんだと誤解する人が多い」とし、“指定注意成分”などの名称が望ましかったと、消費者を代弁した。
増山氏は、(公財)日本健康・栄養食品協会が実施している健康食品GMP工場認定事業、認定健康食品(JHFA)マーク事業などについて説明した。
健康食品の品質・製造管理の適正化を目指す事業理念から認証・認定のプロセスを解説し、聴講者に対して自社製品の品質や製品情報の再チェックを呼びかけた。また、トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品などの保健機能食品と、いわゆる健康食品を別々に考えるのではなく、それぞれをうまくつなげてステップアップさせることにより、業界全体の底上げを図ることのできるような建設的な議論が必要だと訴えた。
パネルディスカッションでは、より安全な健康食品を消費者が適切に選択するための方法、そのための行政や業界のあり方について協議された。認定マークやアドバイザリースタッフなどの活用が必要だとする一方、消費者教育の重要性も説かれた。また、一方的に行政に解決を求めるのではなく、業界が自主的に解決する姿勢も重要だとした。
司会を務めた信川理事長は、ドラッグストア関係者の話を紹介。健康食品を販売するコーナーで、トクホの棚、栄養機能食品の棚、機能性表示食品の棚、JHFAマーク認定商品の棚、そしてそれ以外のいわゆる健康食品の棚があるとすれば、店を訪れた消費者はきっと疑問を持つ。質問を受けたアドバイザリースタッフなどの専門家が適切なアドバイスを行えば、「全くチェックを受けていない商品は買わなくなるだろう」と話した。
最後に同氏は、「日本は制度と法律がずいぶんしっかりしている。世界戦略のなかで日本の良い製品をより分かりやすいかたちで組み立てて進めていくべき。そのなかで、良い健康食品を選択できるような仕組みを作り上げるために、きょうご出席の皆さんと一緒に取り組んでいくことが必要」と締めくくった。
(了)
【田代 宏】