「特商法」「預託法」改正案閣議決定~刑事罰も
消費者庁は5日、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されたと発表した。同案は「特定商取引法」、「預託法」、「消費者裁判手続特例法」の3点をセットとした改正案。今後、国会へ提出し、会期内での成立を目指す。
改正特商法では、①通販の詐欺的な定期購入商法への対策、②送り付け商法対策、③消費者利益の擁護増進のための規定、について強化・整備する。
具体的には、①では定期購入を含めた通信販売で消費者を誤認させる表示などをした場合の厳罰化(12条6)、消費者が誤認して申し込みをした場合、取り消しを認める制度の創設(15条4)、通信販売の契約解除の妨害に当たる行為に対する罰則付きの禁止(13条2)などを盛り込んでいる。これらの行為を行った場合は、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方を科す。法人の場合は1億円以下の罰金。
さらに、妨害行為などを適格消費者団体の差し止め請求の対象に追加する(58条9)。
②については、消費者は送りつけられた商品を直ちに処分することが可能となる。事業者も返還請求はできない。
③については、消費者委員会の建議をうけたかたちで、消費者の利便性の向上と消費者保護の両方の視点から、クーリング・オフを電磁的方法(電子メールの送付など)による送付ができるようにする。また、契約書面については、消費者からの承諾が得られた場合に限り、電磁的方法による締結が可能となる。電磁的方法の手段については今後、デジタルに疎い高齢者やデジタルに依存する度合いが高い若年者の保護を踏まえて、「政令・省令・通達などで万全の規定を整備する方針」(消費者庁)という。
預託法の改正については、①販売預託の原則禁止、②預託法の対象範囲の拡大、③消費者利益の擁護増進のための規定の整備、が盛り込まれる。
①については、販売をともなう預託取引を原則禁止とし、罰則を強化する。例外的に認める場合については、厳格な手続きのもとで消費者庁が物品ごとに個別に確認する。この確認というのは「ほぼ許可に近い」(消費者庁)とし、確認後も契約を結ぶ際に再度確認を取らなければならず、確認を経ずに契約を結んだ場合は行政処分の対象となる。違反した場合は、懲役か500万円以下の罰金とする。
②は、規制の対象となる商品(限定列挙)を廃止し、不動産以外の全ての物品が対象となる。③では、特商法と同様の制度的な規定を整備し、行政処分を強化する。
また、「消費者裁判手続特例法」を改正し、被害者のための被害回復の迅速化を図る。具体的には、特商法や預託法で行政処分を受けた悪質な事業者の処分に関する書類などを適格消費者団体に提供することを可能にし、事業者の悪質な行為の立証に役立つようにする。
【田代 宏】