「消費者裁判手続法」検討会で適格消費者団体の負担減を議論
消費者庁はきょう20日、第4回「消費者裁判手続特例法等に関する検討会」を開催した。同検討会は、一橋大学大学院法学研究科教授の山本和彦座長を中心に、消費者支援団体や法曹界の専門家9人が検討委員として出席している。
今回の検討会では、消費者裁判手続特例法の「対象消費者への情報提供の在り方」、「実効性、効率性及び利便性を高める方策」、「特定適格消費者団体の活動を支える環境整備」について委員から意見を求めた。
「対象消費者への情報提供の在り方」について現行法上では、団体は、正当な理由がある場合を除き、団体に訴訟などの代理権を与えるために必要な情報を、対象消費者に対して書面送付や電子メール送信などによって個別に通知すると同時に、団体のウェブサイトに掲載するなどの方法で公告しなければならないとしている。河野康子委員(特定非営利活動法人消費者スマイル基金事務局長、(一財)日本消費者協会理事)は、「消費者庁のホームページにあるリコール情報サイトのバナーのように専用のバナーを貼るなど、一般消費者に分かりやすく、また対象消費者には、裁判の途中経過が簡単に確認できるような仕組みを作ってはどうか」、大高友一委員(弁護士、日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会幹事)は、「個別に通知することが最適だが、個人情報の管理や漏洩対策などにも注意が必要」と意見した。
特定適格消費者団体へのヒアリングによると、対象消費者への通知費用の負担、対象消費者に関する情報(通知のための連絡先)確保の困難さ、通知の分かりやすさ、事業者による協力の必要性が課題にあがった。
今後の検討事項として、対象消費者に提供すべき情報の内容、団体・事業者・行政の役割分担をどのように考えるべきか、通知・公告の費用負担のあり方などが議論された。
「特定適格消費者団体の活動を支える環境整備」について、特に、事務負担について議論された。これまでの事務負担軽減に関する支援では、提出書類(認定・更新の際の活動実績書類、役員の住所変更届出)の負担軽減、 適格消費者団体の認定の有効期間を3年から6年への延長が行われた。最近の支援では、適格消費者団体などの変更届のオンライン化に向けた取り組みが行われている。
大屋雄裕委員(慶應義塾大学法学部教授)は、「オンライン化が進むことによって、人や物を動かす回数の削減につながる。コスト削減を行うことで、適切で効率の良い資金面の支援ができるようになる」、山本座長は「若年世代が対象の場合、コールセンターの設置は効率が悪い。対象によってはチャットボットなどで対応できる仕組みなどへの投資も必要」と意見した。
同検討会は、引き続き開催され、6月ごろにいったん終了する。その後、7月~8月ごろに取りまとめを行う予定。
【藤田勇一】