「機能性」届出件数、過去最高に
年度途中で1,100件突破 増加どこまで
消費者庁は7日、機能性表示食品の届出データベース情報の更新を行い、43件の新規届出をまとめて公開した。これにより、2021年度(届出番号G)の累計届出件数は1,102件に達し、年度別届出件数の過去最高を更新した。制度施行以来の累計届出件数は5,120件となった。
更新は先月22日以来2週間ぶり。同庁はこの間、増大する届出確認業務の「合理化・円滑化を図る」として、民間団体等で届出の事前確認を行う仕組みの運用を、来年度中にも開始したい考えを2日に公表していた。7日から、業界団体も交えて具体的な検討に入った。
GABAで新・機能性表示 「筋肉量を維持する」
この日に公開されたのは、届出番号G1060からG1102まで計43件。内訳は、サプリメントが26件、その他加工食品が15件、生鮮食品が2件。これまでに公表実績のない新たな届出が複数含まれていた。
「GABAには日常の身体活動により筋肉量を維持する機能が報告されています。加齢による筋肉量の低下が気になる方に適しています」。
サントリー食品インターナショナル㈱(東京都港区)が、GABAについてこうした機能性表示を届け出た。同成分で筋肉に対する働きを訴求する届出は初。届け出た商品はコーヒーで、商品名は『プロフェッショナルボス』。
新・機能性関与成分、HMPAが公開 丸善製薬が届出
また、「HMPA」を略称とする、新規機能性関与成分の届出が公開された。正式名称は「3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸」で、発酵食品由来の成分。「BMIが高めの方の腹部の脂肪を減らす機能が報告されています」旨の機能性が届け出された。届出者は、植物抽出物メーカーの丸善製薬㈱(広島県尾道市)。同社は昨年、HMPAを規格化した機能性食品素材を上市していた。
さらに、コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸類について、食後血糖値の上昇抑制機能と、肥満気味の人の体重など減少サポート機能を同時に表示する届出が2件、公開された。
「コーヒー生豆由来クロロゲン酸類120 mg (本品1粒)には食後の血糖値上昇を緩やかにする機能、コーヒー生豆由来クロロゲン酸類180 mg(本品3粒)には肥満気味の方の内臓脂肪や体重の減少を助け、高めのBMIの改善に役立つ機能が報告されています。肥満気味の方、BMIが高めの方に適した食品です」などといったもので、摂取量(粒数)によって異なる機能性を1つの届出表示にまとめた。届出者は、原材料メーカーのオリザ油化㈱(愛知県一宮市)。
カタログハウスが初の届出 DHA・EPAのサプリ
他にも、シソ科植物の「大葉」の届出が初めて公開された。生鮮食品として届け出されたもので、機能性関与成分はロスマリン酸。これまでに2件が届け出されている成分だが、生鮮での届出は初。
届出表示は「ロスマリン酸を50㎎/日摂取すると、花粉やハウスダスト、ホコリなどによる目の不快感を軽減することが報告されています。本品を5g食べると機能性が報告されている1日当たりの機能性関与成分(ロスマリン酸)の50%を摂取できます」。愛知県豊橋市でハーブ農園を運営する榊原伸泰氏が個人で届け出た。
また、『通販生活』で知られるカタログハウス㈱(東京都渋谷区)による初めての届出が公開された。16年から販売実績のあるサプリメントを届け出たもので、届出商品名は『マグロのあたま』。機能性関与成分はDHA・EPA。
DHAについて、加齢に伴い低下する、日常生活における記憶力など認知機能の一部に役立つ機能、DHAとEPAの双方について中性脂肪を低下させる機能がそれぞれ報告されている旨を表示する。
なお、この日の更新では、撤回届に関するものはなかった。これまでの取り下げ件数は公表ベースで累計513件。
【石川太郎】
(冒頭の画像:サントリー食品インターナショナルが新たに届け出たコーヒーの表示見本。消費者庁の届出データベースより)