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「改正特商法・預託法」など、参院本会議で可決、成立

 「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」(改正特商法・預託法等)が9日午前、参議院本会議で可決、成立した。閣議決定から3カ月余りをかけて成立を見た。同法は「特定商取引法」、「預託法」、「消費者裁判手続特例法」の3点をセットとした法律。
 
 本会議では、立憲・社民を代表して福島瑞穂議員、共産党から大門実紀史議員が反対意見を述べた。福島議員は「特商法・預託法関連法案は過去、全会一致で成立してきたにもかかわらず、今国会では初めて全会一致の成立とはならなかった」とし、「非常に残念」だと述べ、井上信治内閣府特命担当大臣に抗議した。
 大門議員は契約書面交付の電子化について、井上大臣の責任に言及。過去20人の大臣のなかで負の遺産を残したのは「あなただけ」と非難した。

<詐欺的定期購入商法の規制>
 改正特商法では、「通販の詐欺的な定期購入商法への対策」、「送り付け商法対策」など消費者利益の擁護増進のための規定を強化している。
 具体的には、定期購入を含めた通信販売で消費者を誤認させる表示などをした場合の厳罰化(12条6)、消費者が誤認して申し込みをした場合に取り消しを認める制度の創設(15条4)、通信販売の契約解除の妨害に当たる行為に対する罰則付きの禁止(13条2)などを盛り込んだ。これらの行為を行った場合は、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方を科す。法人の場合は1億円以下の罰金。さらに、妨害行為などを適格消費者団体の差し止め請求の対象に追加する(58条9)。

<送り付け商法の排除>
 また送り付け商法では、送りつけられた商品を消費者は直ちに処分することができるようになる。事業者も返還請求はできない。
 消費者庁は消費者委員会の建議をうけたかたちで、消費者の利便性の向上と消費者保護の両方の視点から、クーリング・オフを電磁的方法(電子メールの送付など)による送付ができるようにする。また、契約書面については、消費者からの承諾が得られた場合に限り、電磁的方法による締結が可能となる。電磁的方法の手段については今後、デジタルに疎い高齢者やデジタルに依存する度合いが高い若年者の保護を踏まえて、政令・省令・通達などで万全の規定を整備するとしている。

<「預託法」原則禁止>
 改正預託法については「販売預託の原則禁止」、「預託法の対象範囲の拡大」など消費者利益の擁護増進のための規定が整備される。
 これからは、販売をともなう預託取引を原則禁止とし罰則を強化する。例外的に認める場合については、厳格な手続きのもとで消費者庁が物品ごとに個別に確認する。確認後も契約を結ぶ際に再度確認を取らなければならず、確認を経ずに契約を結んだ場合は行政処分の対象となる。違反した場合は、懲役か500万円以下の罰金。
 また、規制の対象となる商品(限定列挙)を廃止し、不動産以外の全ての物品が対象となる。

<適格消費者団体に処分書を提供>
 さらに被害者のための被害回復の迅速化を図るため「消費者裁判手続特例法」を改正する。具体的には、特商法や預託法で行政処分を受けた悪質な事業者の処分に関する書類などを適格消費者団体に提供することを可能にし、事業者の悪質な行為の立証に役立つようにする。提供する書類については内閣府令で定めることとし、現段階では消費者庁が行った行政処分の処分書などを想定しているという。

【田代 宏】

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