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「トレンドはトクホから機能性表示食品へ大きくシフト」(森下竜一教授)

 ㈱アイメックRD(東京都中央区 大澤裕樹社長)は21日、ポストコロナ時代における機能性表示食品開発を展望するウェブセミナーを開催した。オンライン視聴300人のほか、150人のキャパシティーの会場に30人のリアル参加者も加えて行われた。

 大阪大学大学院の森下竜一教授は、「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の機能性表示食品の新たな潮流」をテーマにスピーチ。機能性表示食品制度が始まった背景、現在の届け出状況などを紹介した。
 生鮮食品が100件以上届出公開されているなか、農産物だけでなく、ブリやカンパチなどの水産品まで機能性を訴求する食品が開発されている現状を踏まえ、「トレンドとしてはトクホから機能性表示食品に大きくシフト。マーケット自体も急速に拡大している」との認識を示した。また、「今後は健康志向が高まるアジアなどの海外ビジネスへの展開も可能性が大きい」とした。

 内閣官房の健康・医療戦略室戦略参与も務める同氏は、最近のトピックスとしてプラズマ乳酸菌の届け出が受理されたことを取り上げた。
 「プラズマ乳酸菌は免疫の司令塔であるpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)を直接活性化できる乳酸菌で、その機能性が認められた背景にはEFSA欧州食品安全機関の考え方がモディファイされている」と述べた。
 さらに、ポストコロナの時代に向けた第2期健康医療戦略に言及し、同氏が総合プロデュースを担当する「2025大阪・関西万博」の大阪府市のテーマ館で、国内外にセルフメディケーションの重要性を訴求する展示やイベントを行うことを明かした。

 京都府立医科大学大学院医学研究科の内藤裕二教授は、機能性表示食品、高発酵性食物繊維、消化管センサー(腸ツボ)の3つの柱をもとに、最新の治験データなどを引用しながら講演した。
 「日本では近年、炭水化物を敬遠する動きがあるが、主に穀類・豆類などに含まれる食物繊維は全死亡率、心疾患や糖尿病などの罹患率と反比例することがコホート研究で明らかになっている。その一方で、腸内で短鎖脂肪酸を産生するグアーガム分解物(PHGG)など、高発酵性食物繊維は現在さまざまな展開を見せている」とし、「日本人はもっと食物繊維を取らなければならない」と指摘した。

 また、消化管センサーではユーグレナ由来のパラミロンが疲労回復に関与するとの研究結果と共に、唾液中のIgA分泌が増えることでインフルエンザ感染に対する免疫力が高まることなども挙げ、「腸管から免疫を活性化することが非常に重要。これらの成分を含む機能性表示食品を食習慣とすることで健康維持を図ってほしい」と述べた。

 ほかに、食と機能性のマーケティングに詳しい(株)インテグレート代表取締役CEOの藤田康人氏による講演も行われた。

【堂上 昌幸】

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