「セルフケアフード協議会」設立 農研機構と島津製作所 食による健康長寿社会を実現へ
食品・飲料メーカー4社、大学1機関が現在までに参画
〝食による健康長寿社会の実現を目指す〟を理念に掲げた(一社)「セルフケアフード協議会」が設立された。
国立研究開発法人の農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市、以下農研機構)と、クロマトグラフなどの分析計測機器の技術開発、製造を手掛けることで知られる㈱島津製作所(京都市中京区)が立ち上げたもので、代表理事は農研機構食品研究部門の山本万里氏、事務局は島津製作所がそれぞれ務める。
現在までに、カゴメ㈱、カルビー㈱、森永乳業㈱、㈱はくばくといった食品・飲料メーカーの他、北海道情報大学が参画。科学的な成分分析技術を基盤に、個々人が自分の健康状態を把握できるようにし、健康維持に必要な食を選択できる社会システムの構築および提供、また、日本の農林水産食品産業の振興を主な目的に活動していく。
第2期SIPの成果、社会実装を目指す
島津製作所らが7日までに発表した。農研機構は、内閣府が2018年から進めている「戦略的イノベーション創造プログラム(第2期SIP)」の「スマートバイオ産業・農業基盤技術」分野における代表機関を務めており、島津製作所も参画。セルフケアフード協議会の目的には、第2期SIPでの研究成果の「社会実装」を目指すこともあるといい、「多数の企業・研究機関と一丸となった食を通じた社会貢献とイノベーション創出を実現していく」としている。
セルフケアフード協議会のホームページによると、同協議会の設立は今年4月。事業内容としては、機能性弁当や機能性ドリンクのほかミールキットなどを対象にした「統合健康栄養食品」に関する認証事業を掲げており、今後、協議会内に同事業を推進するワーキンググループを設置し、「検討を開始する予定」だとしている。
認証スキームとしては、農林水産省関連の民間認証制度を活用する。独立行政法人の農林水産消費安全技術センター(FAMIC)本部に設置された認定センター(JAStaff)が国際基準のISO/IEC17065に適合する中立な第3者認証機関を認定した上で、その第3者認証機関が認証基準に基づき認証した商品を会員企業が製造・販売する、といった流れを示している。
食品の機能性解析、技術面をサポート
農研機構と島津製作所は、19年4月から22年3月にかけ、食品の機能性成分解析を目的とした共同研究を行っていた。島津製作所に設置した「食品機能性解析共同研究ラボ」を通じ、農研機構が開発した農産物の分析業務に適した、簡便・迅速・適切な分析技術を開発。また、今年9月に島津製作所内に開設予定のテスティングラボでは、セルフケアフード協議会に参画する機関や企業が研究開発の場として活用できるようにする。同社と農研機構が技術面でサポートする。
【石川 太郎】
(冒頭の画像:セルフケアフード協議会のホームぺージhttps://scfc.or.jp/)