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食薬区分変更、再考求める声上がる 
「指定成分にする道もある」「一律に規制は適当か」

受け入れなかった厚労省

 厚生労働省が25日発出した食薬区分の一部改正通知。ヒメツルニチニチソウやトウゲシバ(センソウトウ)など5つの植物由来原材料を、「非医」(医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質)リストから「専ら医」(医薬品と判断する成分本質)リストに区分変更する改正を巡り、厚労省が昨年12月13日から今年1月11日まで行った意見募集(パブリックコメント)には、再考を求める意見が複数寄せられた。

 寄せられた意見には、専ら医ではなく、GMPに基づく製造・品質管理などが義務付けられる指定成分等含有食品に指定することを求める声をはじめ、健康食品の原材料としての安全性を文献に基づき主張する意見、さらには食薬区分の判断のあり方を疑問視する声などがあった。厚労省としても回答に腐心した様子がうかがわれるが、改正内容が見直されることはなかった。

 厚労省は意見募集の結果と回答を、一部改正通知を発出するのに合わせて25日に公表。意見を寄せたのは「7者」だったという。また、厚労省が公開した意見は5つ。センソウトウ、シンキンソウ、ノゲイトウ、そしてヒメツルニチニチソウの食品区分変更について再考を求めるもので、賛同の意を示す意見はなかった。

非医から専ら医に変更する必要どこに

 そもそも、もともと非医であるヒメツルニチニチソウなど5植物由来原材料を専ら医に区分変更する必要が生じたのはなぜか。食薬区分を審議する有識者らのワーキンググループは、議事概要によると、各原材料に毒性の強い化合物(主にアルカロイド)が含まれることを理由に挙げている。

 しかし、意見では、そうした化合物や成分の含有をもって一律に規制することを疑問視。「当該化合物の含有量や1日摂取量、さらに健康被害の発生の有無などを考慮の上で総合的にご判断いただきたい」や「生理活性の程度と含有量の量的相関関係の見極めが十分ではない」、「(含有量は)極めて低い」、「ヒトへの有害事象は報告されていない」などと主張する声が上がった。

 こうした意見に対して厚労省は回答で、食薬区分の判断のあり方を繰り返し説明。「毒性や食経験、医薬品の使用実績等を総合的に鑑みて判断」しているなどとした上で、毒性については、「毒薬・劇薬指定成分に相当する成分の有無を判断要因の1つ」にしているとしつつ、品目中の含有成分量(濃度)は「植物個体によって大きく異なる場合があること、また製品の加工法によっては含有成分を濃縮することが可能」であることを理由に、「原則、判断に加味しない」などとした。

食品としての規制求める複数の声

 ただ、そうした化合物や成分の含有量(濃度)なども総合的に鑑みなければ、本来、経口摂取するものの安全性を判断することは難しい。現に、有害事象を起こす可能性のある化合物などを含む原材料であれ、その含有量を規制することで健康食品などとしての流通が妨げられていないものもある。一方で、食薬区分は食品としての安全性を評価するものではない。そのためか、今回寄せられた意見では、医薬品ではなく食品としての規制や管理を求める声が複数上げられることになった。

 「(食品の)有害性を取り締まる仕組みは、46通知の範囲で行われるべきものではなく、食品衛生法第8条に基づき指定成分等含有食品として取り締まる道もあるのではないか」。

 こうした意見が寄せられた。しかし厚労省は受け付けなかった。なぜか。「指定成分等含有食品の候補から除外」され、「食薬区分で審議されることが妥当と判断された」ためだとする。

 指定成分等含有食品制度は2020年6月に施行。現在までにプエラリア・ミリフィカなど5つの植物由来原材料が厚労大臣に指定されているが、その候補選定では、食薬区分の非医リストに収載されている品目や、厚労省が安全性に関する注意喚起を過去実施したことのある品目が対象にされた。

 その際、厚労省によれば、「含有化合物及び成分自体の生理活性等を踏まえ、指定成分等含有食品としての取り扱いが不適正な品目(食薬区分での審議が妥当と判断された品目、あるいは、食品衛生法8条以外の条文=第6条、7条、13条=による規制が妥当と判断される品目)」を選別した上で、指定成分等含有食品の候補から「除外」した。その過程で、ヒメツルニチニチソウやセンソウトウなど、今回区分変更された5つの植物由来原材料は、「指定成分としての規制ではなく、食薬区分の検討が妥当と判断された」としている。

(冒頭の画像:厚労省が公開した意見募集結果のうちヒメツルニチニチソウに関する意見)

意見募集結果及び回答に関する全文

関連記事:厚労省、食薬区分一部改正を通知

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