消費者庁、規制へ向け告示案など示す 第6回ステマ広告検討会(前)
消費者庁は11日、第6回ステルスマーケティングに関する検討会(ステマ広告検討会)を開催した。この日は、事務局(消費者庁)の論点整理をめぐる意見交換と、動画クリエイターを招いたヒアリングが一部非公開で行われた。
第1部では、消費者庁表示対策課の南雅晴課長が、これまでの検討会における議論を踏まえて、主な検討事項のこれまでの整理、今後の検討の視点について説明。これに対して各委員が意見を述べた。また、新経済連盟事務局政策部の片岡康子委員は、事務局の論点整理に対する意見を提出。同見解をめぐる意見交換も行われた。
前回までの意見を整理
南課長はまず、前回の検討会で出された意見を整理した。
なぜ規制が必要か、そしてどういう規制が適当かに言及。規制の必要性については前回までに委員全員のコンセンサスが得られているとした。規制のあり方については、「一般的包括的規制」を是とする委員と、「限定的な規制」にとどめるべきとする委員に分かれているとした。また、具体的な規制のあり方については、「すでに法が用意している景品表示法法5条3号告示が適当」とした。
対象となる範疇については、「限定しない」とする意見と「ネットに限定する」という2通りの意見があるとし、いずれにしても「事業者の予見可能性を高めるための運用基準(ガイドライン)が必要であることについて見解が一致していることを示した。
さらに、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠す行為に対して、広告であることが分かるように表示するための文言をどうしたらよいか、一般消費者が共有できる範囲についてどうするか。また、規制の実効性を確保するためにはどうするか、整理された各委員の意見を紹介した。
景表法が規定するあらゆる取引・表示が対象
次に、規制のあり方として最も適当とされる景表法「5条3号告示」の案と、運用基準の方向性について示した。
過去に行った執行例を挙げて、指定告示の仕組みについて説明した。告示指定の要件としては景表法2条4項におけるあらゆる商品・役務に関する取引や表示を含む。「品質」、「内容」、「取引条件」など。また、取引とは当事者間の経済的価値の交換に当たり、売買であれば売主と買主が存在する。景表法における取引というのは、市場における事実行為とされ、それを基礎づける市場とは事業者と消費者との個々の取引を指し、当事者が誰なのかとなれば、その当事者の名前も取引に関する事項に入る。それらにおいて、誤認表示および誤認される恐れのある表示が対象とされることになる。
では、一般消費者に誤認される恐れのある表示とは何か。表示について、「実際とは異なる認識を抱くかもしれない、抱かないかもしれない、でも抱く人もいるかもしれない。これが誤認される恐れ」であるとされる。そしてそれらが、「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する」(不当顧客誘引行為)としている。
以上を前提に、消費者庁が策定した指定告示(案)では、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示(広告)であって、一般消費者が当該事業者の当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの(消費者に対して広告であることを隠そうとする行為)」と定義した。
南課長は運用基準の方向性として、「表示の主体性が事業者にあるかどうか」で判断するとした。事業者の表示となるかどうかについては「事業者の表示と認められる実態があるかどうかによって判断する」、さらに一般消費者が当該事業者の当該表示であることを判別することが困難であるかどうかについては、「一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているかどうかを表示内容全体から判断する」ことになるとしている。また、5条3号告示の適正な運用に当たっては、公聴会を開くことと消費者委員会の意見を聞くとの定めがある。運用基準(ガイドライン)も併せて策定し、運用基準については完成前に一般に開示する。運用基準の策定については、抽象的な規範に事実を当てはめて誤認かどうかを判断するという手続き上、これまでにも多くの委員がその必要性を主張している。
以上について、各委員がそれぞれ意見を述べた。
(つづく)
【田代 宏】