消費者庁、デジタルツール活用検討会開催 標準プラットホームの構築と情報の整流化が課題
消費者庁は18日、第4回「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」(座長:加藤孝治氏 日本大学大学院教授)を開催した。前年度の分科会では計3回にわたりコーデックス食品表示部会の動向や、海外における食品表示のデジタルツール活用による取り組み、事業者ヒアリングなどを主題に議論したが、今年度も引き続き検討会で議論を深めていく。
第4回目の検討会では、経済産業省から商品情報の連携に関する取り組みについて報告があった。その中で、消費財サプライチェーンにおける商品情報のデジタル化、人手不足への対応として商品情報の共有化についての必要性を指摘。具体的な取り組みとして、商品識別コードであるGTINコード(JANコード)に紐づく商品情報の共有などにより、2026年に稼働を予定している産業横断レジストリーを通じた商品情報プラットホーム構想の紹介が行われた。
また、経済産業省と消費者庁の取り組みの関連性や、商品情報と品質情報の違いについては、両省庁の取り組みが重なる部分があるが「行政が異なる取り組みを進めないよう歩調を合わせたい」との意向が示された。
加藤座長は「経済産業省の取り組みは企業間取引(B to B)の効率化、消費者庁の取り組みは消費者への情報開示(B to C)が目的だが、将来的には両者の施策がクロスする部分が多いため、情報共有しながら進めることが重要」とした。
検討会の後半では、食品業界に特化した商品規格書の授受デジタル化や情報授受の標準化に向けた取り組みについてのヒアリングが行われた。食品メーカーや卸業者などのB to B電子商取引プラットホームを運営する㈱インフォマートは、データベースを管理する商品規格書を示しながら、規格書回収状況の可視化、卸業者は得意先からの依頼をメーカーに転送可能、メーカーは共通フォーマットによる業務削減などの利用メリットがあると説明。その後にデジタルツール活用に向けた4つの重要点として、①品質情報の重要性に関する業界全体の意識統一、②既存ツールの活用による利便性向上、③企業全体での情報の見える化、④メーカー・製造者に配慮したフォーマットの共通化――を挙げた。
一方、大手食品メーカーや卸業者などが参加する業界団体のPITS(ピッツ 商品情報授受標準化会議)は、項目定義やツールの違いなど現状の煩雑さを報告した上で、現在どのようなかたちで食品データが授受されているかの説明を行った。また、PITSは食品情報のデータベース事業者間のシステム連携についての調査も行っており、業界内ではまだ連携状況が不十分とした上で、活用推進のための環境づくり、インプットしやすい標準項目、業界標準プラットホーム作りの3つを重点項目に、今後は情報の整流化に向けて普及活動を行っていくとした。
検討会では今回のヒアリング結果を踏まえ、デジタルツール活用の議論を引き続き行っていく。第5回検討会は7月30日に開催する予定。
【堂上 昌幸】