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ステマ広告規制へ報告書(案)示す パブコメ募集後、年内取りまとめへ(消費者庁)

ステマ許容はデジタル広告市場に害

 広告主が自らの広告であることを隠したまま広告を出稿するステルスマーケティング(ステマ)の規制を検討する有識者会議「第7回ステマ広告検討会」で28日、報告書(案)が示された。
 検討会では、これまでに行った事業者、広告代理店、PR会社、インフルエンサーなどに対するヒアリングやアンケート調査結果を基に、「ステマに対する規制を導入しないことは、広告主に対して、行政がステマを許容していると受け取り、市場にステマが氾濫する」、「ステマを許容することは、長期的にデジタル広告市場にとって害でしかない。消費者がより広告に嫌悪感を持つようになり、広告の信頼性が落ちるため、それを嫌った広告主がさらに広告である旨を隠すという悪循環に陥る」などの理由から、「景品表示法による規制の必要性がある」と結論付けた。

規制対象は4媒体に広げる、表示方法は「広告」に限らず

 前回までの検討会報告記事で既報のとおり、あくまで現行制度内での規制が前提。規制の基本的な方向性については、「抽象的な規範に事実を当てはめて誤認かどうかを判断する」(消費者庁)ため、個別事案に関する細則を定めるのではなく「一般的・包括的な規制が妥当」とした。
 また、不当表示に該当しなければ、優良誤認(5条1号)や有利誤認(5条2号)で規制することはできないため、「景表法5条3号の告示に新たに指定する」ことの妥当性を示した。
 「規制対象となる表示(媒体)の範囲は(SNSなどのインターネット広告に)限定せず」4媒体(ラジオ・テレビ・新聞・雑誌)へも対象を広げた。ただしその際、「事業者の予見可能性を高めるための運用基準等の策定の必要性がある」と提言している。
 表示方法に関しては、「広告」という文言などが適当とする提案もあったが、「一般消費者が事業者の表示であることを判別できるものであれば、問題とはならない」としている。

 今後の対応策として、景表法5条3号に基づく告示指定に当たり、消費者庁が法定された手続きである公聴会や消費者委員会への諮問などを迅速に実施する必要性に言及している。

仲介事業者やインフルエンサーの規制も視野に

 さらに、中長期的な課題として、現行の景表法で直接規制されていない広告主ではない悪質な不正レビューを募集する仲介事業者(ブローカー)について、ステマを生じさせる中心的な役割を担っている同事業者を規制する必要があると判断された場合や、インフルエンサーが広告主の指示を超えて表示を作成することが常態化した場合は、供給主体・責任主体の位置付けの見直しを行い、これらも対象とするための規制範囲の見直しを検討する必要があるとし、その場合、インフルエンサーへのインセンティブ付けのために、必要に応じてリニエンシー制度に類似した制度なども検討するとしている。

 今回の検討会では消費者庁から、指定告示(案)と運用基準の方向性(案)のバージョンアップ版も示され、中身の方向性に関しては全委員が賛意を示した。細かい修正を経た後、次回検討会までにパブリックコメントを募集する。
 次回検討会の開催は12月下旬を予定。年内の取りまとめを目指す。

【田代 宏】

関連記事:新経済連盟・片岡委員が代替案提示 「表示主体」めぐり事業者擁護に立つも、反論続出

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