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インタビュー~(一社)健康食品産業協議会 橋本正史会長に聞く(前)

 4月で7年目を迎える機能性表示食品制度。昨年は、免疫機能をうたう機能性表示食品が届出公表されたほか、肌の弾力維持、排尿抑制などの新たな機能性に期待する商品が相次いで公表された。一方、「事後チェック指針」、「エビデンスレビュー委員会」の設置など、機能性表示食品の健全な市場流通へ向けた準備が進んでいる。(一社)健康食品産業協議会の橋本正史会長に、業界の健全化へ向けた取り組みについて話を聞いた。

<届出2件について評価>

――エビデンスレビュー評価委員会発足のきっかけは?

橋本 消費者庁に年間2~3件くらいの割合で、表示をどうしたらいいのかという相談があるといいます。消費者庁には、エビデンスをどうしたらいいのか、評価する仕組みがありません。事後チェック指針で対応すればよいとはいえ、食品である限り責任はともないます。
広告する場合に、表示とエビデンスは無関係ではあり得ません。第三者的に評価する仕組みが必要だということで、当協会がレビューの評価委員会を立ち上げ、妥当性に関する評価を客観的に行うことになりました。

――進捗状況は?

橋本 発足後、すぐに事案が上がり、それについては専門の先生方に評価していただきました。昨年に続いて今年も事案が1つ出て、評価を終え、消費者庁へ報告済みです。もちろん、評価委員会の先生が認めたからと言って、アカデミアの先生方がすべて肯定的にとらえるかどうかは別問題。先生方に一度ここで判断を仰ぎ、1つの結論を得るということは、事業者にとっては大きな収穫だと思います。

――互いのニーズがマッチングして始まった制度ということですね。

橋本 そうです。ただこれが、変にお墨付きを与えるというか、頻繁にそういった議論が
行われるということは元々想定しておりません。

――どういう点で?

橋本 事業者側もそうですが、行政側も、評価のための一定の仕組みができましたが、実際に機能するかどうかはやってみないと分かりませんでした。現時点では期待通りの評価になっているのではないかと見ていただけていると思います。

<作用機序とアウトカムの整合性が焦点>

――消費者庁側から相談を受けるかたちですか?

橋本 過去に受理されている製品だと判断は楽なのでしょうが、そうではなく、特に新規成分について消費者庁サイドで判断がむずかしい商品についてです。元々、この制度は消費者庁が判断を行うような制度ではなく、事業者責任に基づく制度ですから。

――問題になりやすい点と言うのはどういうところでしょうか?

橋本 この制度の骨格となるのは、作用機序とアウトカムの部分ですから、その整合性とか、実際のエビデンスの強さという点です。場合によっては外挿性なども含めていろいろなケースが考えられるでしょうね。

――秘密保持は守られていますか?

橋本 はい。弁護士立会いの下、秘密保持契約も締結しています。

<公正競争規約「広告」と「エビデンス」は両輪>

――機能性表示食品の公正競争規約策定に向けた作業は進んでいますか?

橋本 実はこれまで、広告に関する公正競争規約の策定に向けて作業を進めてきたのですが、消費者庁から、広告の根拠となるエビデンスを無視してはならないという指摘を受けました。
 これは事後チェック指針にも関わることですから、事前のチェックのようになってもいけないし、エビデンスレビューの評価のやり方など、そういうことも含めて、実際にどこまで業界側がルール化できるのか。とはいえ、避けては通れないことなので、(公社)日本通信販売協会(JADMA)や日本抗加齢協会などともエビデンスについてどういう担保をすべきかを議論することにしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって延期となりました。デリケートな問題だけにリアルで話し合おうということになっており、3月か4月に第1回目の会合を予定しています。

――広告表示に関する議論は終わっているのでしょうか?

橋本 はい。こういう規約で、こういうルールで進めようという方向性が出来上がっています。それも踏まえて、当協会には公正競争規約の分科会もありますので、消費者庁と相談しながら話し合いを進めていこうと思っています。

――話し合いのメンバーは?

橋本 広告に関する情報が豊富なJADMA、事前相談などでエビデンスについて多くの知見を積み上げている(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)と抗加齢協会、この三者と実態に合わせたかたちで公正競争規約の議論を詰めていく予定です。

――まとまりそうですか?

橋本 容易ではないでしょうが、まとめなければならないと思っています。

――タイムスケジュールは?

橋本 はっきりとは申し上げられませんが、広告のほうはコアなディスカッションができていた関係で1年くらいでまとまりました。コロナの方もこの先落ち着きそうですから、どこまで網掛けをするかというところでしょう。

【聞き手・文:田代 宏】

(つづく)

(冒頭の写真:橋本正史会長)

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