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ビバ・ナチュラル事件(5) 健康食品広告・表示の「判例」解説

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<裁判を分析する>

この裁判を分析する。まず、医薬品の意義を考える。

本件裁判例では医薬品について、「その物の成分、形状、名称、その他に表示された使用目的・効能効果・用法用量、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において『人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている』と認められるもの」と定義している。

この判断は、厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(1971年(昭和46年)6月1日、薬発第476号)、そして、これを受けて行われた「つかれず」事件の最高裁判決(1982年(昭和57年)9月28日判決)を踏襲したものである。

医薬品に該当するかどうかを判断するに当たり、成分、形状、表示された使用目的・効能効果・用法用量だけでなく、販売時の演述・宣伝内容まで考慮できることは、裁判上決着が付いたと言える。

本件で『ビバ・ナチュラル』が医薬品に該当すると判断した過程を見ると、成分自体からは「医薬品」と認められるものではないものの、以下の点を総合したことがある。

(1)形状・外観(顆粒状粉末1g入りのアルミ袋が1箱に30包入っていること。外箱に東京都医師協同組合連合会推奨品のレッテルが貼られていること。1箱4,500円の小売値が『ビバ・ナチュラル』の外箱に表示されていることなど)。

(2)表示された使用目的・効能効果・用法用量(本件販売に当たり、使用された効能書や宣伝用パンフレットの説明文中に「1箱(30包入り、1か月分)」の表示があり、1日1包の処方を指示していることなど)。

(3)これらに加えて、販売時の演述・宣伝内容(『ビバ・ナチュラル』の医薬品的効能効果(高血圧、動脈硬化、肝臓疾患、肥満、便秘またはシミ、肌荒れ、発疹などに効果がある)について言及したポスターを作成し、小売先に販売したこと。『ビバ・ナチュラル』の薬理作用を明示した「治験例集計紙A・B」を『ビバ・ナチュラル』の試供品と共に配布などしたこと。販売担当者から各販売先に対し、『ビバ・ナチュラル』が肝臓、高血圧、便秘などに効果がある旨の薬効を口頭で告げていたこと)。

これらを総合的に考慮した結果、『ビバ・ナチュラル』は通常人から見て、「人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされているもの」、つまり医薬品に当たると判断された。

(つづく)

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