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ビバ・ナチュラル事件(3) 健康食品広告・表示の「判例」解説

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<第一審(横浜地裁川崎支部)、X社らの主張>

第一審で弁護人は主に次の2点を述べて、『ビバ・ナチュラル』は医薬品に該当しないと争った。

(1)『ビバ・ナチュラル』は、海藻のエキスを顆粒としたものであるから食品である。外箱にもその旨が大きく表示され、箱の中にも薬でない旨の断り書が入っている。従って、一般人が外観上、薬と混同することはあり得ない。

(2)X社らは『ビバ・ナチュラル』を販売するに当たり、医薬品的効能効果を標ぼうしたことはなく、海藻の栄養効果を告げたに過ぎない。

<第一審の判断>

第一審の結論は、『ビバ・ナチュラル』は医薬品に当たる。有罪(X社とTは罰金20万円、Sは罰金15万円、K・Qは罰金5万円)。

第一審は、医薬品とは「その物の成分、形状、名称、その他に表示された使用目的・効能効果・用法用量、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において『人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている』と認められるものをいう」との考え方を示した上で、次のように検討・分析した。

(1)成分自体からは「医薬品」とは認められない。

(2)しかし、次の点において外観上、医薬品に相当程度近似している。
・顆粒状粉末1g入りのアルミ袋が1箱に30包入っている点。
・外箱に東京都医師協同組合連合会推奨品のレッテルが貼られている点。
・小売値は1箱4,500円と、普通の海藻の市価と比較して高価と言える点。
・販売に当たり使用された効能書や宣伝用パンフレットの説明文中に、「1箱(30包入り、1か月分)」の表示があり、1日1包の処方を指示している点。

(3)次の点において、医薬品的効能効果を演述して販売したと言える。
・X社らは、『ビバ・ナチュラル』が紹介された雑誌や新聞記事のコピー、宣伝用パンフレット、各販売先で、小売に使用するためのポスターを多数作成して、販売に当たり各販売先に配布していたところ、これらはいずれも『ビバ・ナチュラル』の医薬品的効能効果(高血圧、動脈硬化、肝臓疾患、肥満、便秘またはシミ、肌荒れ、発疹などに効果がある)について、直接または間接的に言及していること。

・X社らが作成した「治験例集計紙A・B」は『ビバ・ナチュラル』の薬理作用を明示したものであり、X社らはこれをコピーして、自ら企画した海藻に関する医学博士の講演の際に、参加者に『ビバ・ナチュラル』の試供品と共に配布したり、販売に当たって治験例集計紙を添付し、またはこれを示して口頭で内容を説明したりしていること。

・販売担当者が各販売先に対し、『ビバ・ナチュラル』が肝臓、高血圧、便秘などに効果がある旨の薬効を口頭で告げていたこと。

以上の事実を総合すれば、『ビバ・ナチュラル』が一般通常人の理解において、人の疾病の治療または予防に使用される目的を持つと認識されることが十分に認められるので、薬事法2条1項2号(現・医薬品医療機器等法)に該当する医薬品と認めるのが相当である。

(つづく)

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