ネオキシンE明治事件(3) 健康食品広告・表示の「判例」解説
堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏
<控訴審の判断>
控訴審の判断は、控訴棄却。高裁は、医薬品に当たるかどうかの判断基準について次のように述べ、従前の判例の考え方を踏襲した。
・医薬品である「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」かどうかは、医学的知識に乏しい一般人には…(略)…専らその外観・形状・説明等により判断するほかない。
・そうしたとき、もし右のような使用目的の物が何らの規制もなくほしいままに製造・販売等されると、一般人がこれを不当かつ安易に使用することによって、国民の多数の者に正しい医療を受ける機会を失わせ、その疾病を悪化させるなどしてその生命、身体に危害を生じさせる恐れがある。
・何らかの薬理作用を有するものはもちろん、薬理作用上の効果のない物でも、薬効があると標ぼうすることによる場合も含めて、客観的にそれが人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的としていると認められる限り、薬事法(現・医薬品医療機器等法)2条1項2号に言う医薬品に該当し、同法の規制の対象になると解するのが相当である。
・医薬品に該当するか否かの判断基準としては、その物の成分・本質・形状(剤型・容器・包装・意匠等)・名称、その物に表示された使用目的・効能効果・用法容量、販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断して決すべきもので、かかる客観的総合判断の結果による一般通常人の認識いかんでは、たとえ科学的には人の健康に有益、無害な物であったとしても、前記「医薬品」に該当すると言うべきである。
その上で、高裁は第一審で認定された事実を総合的に考察した場合、通常人から見て客観的に「人の疾病の予防に使用されることを目的とする物」と言えるとして、第一審の判断を支持した。
(つづく)