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スーパーオメガ3事件(中) 健康食品広告・表示の「判例」解説

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<外箱や販売員用パンフレットの記載内容を指摘>

前回に引き続き、高裁が指摘したポイントを見ていく。2点目の「形状、表示された使用目的・効能効果・用法用量など」について、高裁は次のように指摘した。

『スーパーオメガ3』は、カプセル100粒入りのプラスチック容器が紙製の外箱に収納されたかたちで販売されている。プラスチック容器に貼付されたラベルには、成分として「EPA」、「DHA」、「天然ビタミンEその他脂肪酸」などと印刷。外箱には次のような印刷が行われていた。

◇アメリカの有名な健康マガジンが「どんなビタミンよりも強烈」と治験例を挙げて特集した。

◇医学博士が「心臓病を打ち負かす」との書名の著書で、「体内に蓄積した多量のコレステロール・中性脂肪・トリグリセロイド(循環脂肪)を短期間に、しかも急速に中和し、動脈壁を刺戟し、血管成長因子を分泌させて、血管を若返らせる。特に脳疾患・動脈硬化症・心臓病・がん疾患に対し驚異的力がある」と発表した。

◇アメリカ水産学会で「今世紀最大の医学革命」と講演した。

続いて、3点目の「販売方法、販売時の演述・宣伝など」について、高裁は次にように指摘した。

外箱の印刷内容をより詳細にした販売員用のパンフレットが印刷されており、顧客にこのパンフレットを示して、「これを飲めば全ての病気に効く。私も昔心臓病を患ったが、これを飲んで生き返った。1回3錠、朝昼晩に飲めば、高血圧症などはすぐに治る。今世紀最大の発明だ」、「脳や成人病に効く。中性脂肪を取り、血液をきれいにして若返らせる」などと説明した。

<3つの要素に着目>

本裁判例は、ある経口物が「医薬品」(旧薬事法第2条1項2号)に該当するかどうかは、その「成分・本質・形状(剤型・容器・包装・意匠等)・名称・その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量・販売方法・販売の際の演述など」から、「通常人」が「人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることを目的としている」ものと認識するかどうかによって決まるという、従来の裁判例や行政通達の考え方を踏襲したものと言える。

高裁は「成分(表示)」、「効能効果表示」、「販売の際の演述」の3つの要素に着目し、『スーパーオメガ3』が医薬品に該当すると判断した。

(つづく)

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