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つかれず事件(4) 健康食品広告・表示の「判例」解説

<上告審判決も「医薬品に該当」>

次に上告審判決を見ていく。判決は「上告棄却」。上告審判決は、まず医薬品該当性判断に関する基本的な考え方として、次のように示した。

「薬事法(現・薬機法)の立法趣旨が、医薬品の使用によってもたらされる国民の健康への積極・消極の種々の弊害を未然に防止しようとする点にあることなどに照らすと、同法2条1項2号に言う医薬品とは、その物の成分、形状、名称、その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において『人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている』と認められる物を言い、これが客観的に薬理作用を有するものであるか否かを問わないと解するのが相当」。

上告審も第一審、控訴審判決と同様の見解を示したわけである。

その上で、『つかれず』『つかれず粒』について、次のように結論づけた。

「いずれもクエン酸またはクエン酸ナトリウムを主成分とする白色粉末(80gずつをビニール袋に入れたもの)または錠剤(300粒入りのビニール袋をさらに紙箱に入れたもの)であって、その名称、形状が一般の医薬品に類似している上、被告人らはこれを高血圧、糖尿病、低血圧、貧血、リュウマチなどによく効く旨、その効能効果を演述・宣伝して販売したというのであるから、たとえその主成分が、一般に食品として通用しているレモン酢や梅酢のそれと同一であって、人体に対し有益無害なものであるとしても、これらが通常人の理解において『人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物』であると認められることは明らか」。

つまり、上告審も『つかれず』『つかれず粒』が医薬品に該当すると判断した。

<上告審判決を分析>

ここからは(明日掲載予定の第5回にわたって)、上告審の判決内容を分析する。まず関係条文を確認する。

薬機法(旧・薬事法)は、「薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売(中略)してはならない」と定めている(24条1項)。これに違反した者は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(または併科)が科されるほか(84条9号)、法人にも罰金刑が科される(90条2号)。

本件では、Xら(有限会社X、X代表取締役のY、X営業課長のZ)が、『つかれず』『つかれず粒』と称する「医薬品」を無許可販売したとして刑事訴追されたため、『つかれず』と『つかれず粒』が「医薬品」に該当するかどうかが論点となった。

(つづく)

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