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つかれず事件(3) 健康食品広告・表示の「判例」解説

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<控訴審判決は「控訴棄却」>

次に控訴審判決を見ていく。結論は「控訴棄却」だった。

弁護人は第一審と同様に、「『つかれず』と『つかれず粒』は、いずれもサツマイモから抽出されたクエン酸を主成分とするもので、クエン酸が食品衛生法上の『食品添加物』であり、これが食品と一体となるときには、全体が食品と観念されることに照らして、『食品』と同視すべきものであるから、いかなる観点から見ても、薬事法(現・薬機法)の規制の対象となり得ない」と主張。

「(『つかれず』『つかれず粒』は)全く有益無害なものであるから、このような食品については、いかなる表示・宣伝をしようとも…(略)…薬事法(現・薬機法)の規定の適用は制限されるべきである」などと述べ、医薬品該当性を争った。

しかし、控訴審判決は、(1)『つかれず』『つかれず粒』は外観・形状を見れば、一般社会通念上の食品とは認められない、(2)たとえ有益無害であっても、薬効がある旨を標ぼうして販売する場合には、医薬品として薬事法(現・薬機法)の規制の対象となる――と判断し、弁護人の主張を退けた。

<「天然の果実と同視できない」>

控訴審判決の趣旨は次のとおり。

『つかれず』と『つかれず粒』は、サツマイモのでんぷん粕に黒かびを作用させて発酵させ、生じたクエン酸を消石灰と化合させて抽出し、これを硫酸によって分離・製造したクエン酸や、炭酸ソーダを作用させて製造したクエン酸ナトリウムを主成分とする。このようなクエン酸が天然のレモンや梅に多量に含まれているからと言って、また、飲食した際の効用が同じであるからと言って、それだけで直ちに、天然の果実と同視することはできない。さらに、製品の外観・形状を見ると、一般社会通念上の食品とは認められないことも明らかである。

従って、『つかれず』と『つかれず粒』は原料をサツマイモとするものの、生物学的・化学的に製造されたクエン酸およびクエン酸ナトリウムを主成分とする粉末または錠剤そのものである。たとえ、有益無害なものであっても、薬効がある旨を標ぼうして販売する場合には、まさに医薬品として薬事法(現・薬機法)による規制の対象となる。

(つづく)

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