食品値上げ品目数、前年の4割程度か 帝国データ調べ、背景に「値上げ疲れ」の消費行動
㈱帝国データバンク(東京都港区)の調べによると、今年10月の食品値上げは2,911品目に上り、同4月の2,897品目を上回る年内最大の値上げラッシュになる。主要食品メーカー195社を対象に調査した。最大の値上げ要因は、猛暑や干ばつによる不作を理由にした「原材料高」。さらに、「包装・資材」、「物流費」、「円安」、「人件費」を要因とする値上げの割合が前年に比べて上昇している。
円安、人件費、物流費──「粘着的な値上げ圧力」
きのう9月30日に発表した。24年通年の予定を含む値上げ品目数は累計1万2,401品目、値上げ率は平均で17%が見込まれるという。3年連続で、10%を大きく超える高い上昇率が続くことになる。
ただ、値上げ品目数は前年の4割程度の水準にとどまる見通し。高い上昇率が続いた食品の値上げに対し、家計の実質取得は伸び悩む。そのため、購入点数の減少、安価なPB商品への切り替え、買い控えといった「『値上げ疲れ』の消費行動が定着し、値上げを含めた価格設定は23年に比べて非常に厳しい局面が続いた」と、同社は24年の傾向を分析。結果的に、値上げの見送りや、内容量を減らすなどして価格を維持する傾向が強く、「値上げの勢いは後退感」が出ていると見る。
しかし、「粘着的な値上げ圧力」は続いている。24年の値上げ要因を品目数ベースで調べたところ、最多は「原材料高」で92.7%。前年比で3.5ポイント減少した。また、前年は80%を超えていた「エネルギー」も61.1%まで減ったものの、「包装・資材」、「物流費」、「円安」、「人件費」を要因とする値上げは前年比で上昇。一時1ドル160円を突破した「円安」は前年11.4%から28.4%、「人件費」は9.1%から26.7%とそれぞれ大幅に上昇した他、「物流費」は58.4%から68.6%に10ポイント余り上昇し、値上げ理由のおよそ7割を占めるまでになったという。
【石川太郎】