日本版包装前面栄養表示検討会~第2回 海外の表示例を参考に表示様式などを議論
消費者庁は27日、第2回「日本版包装前面栄養表示」検討会を開催した。今回は前回に続き、「摂取時の量とのかい離が生じる食品の取り扱い」および、「日本版包装前面栄養表示の様式」について議論した。
まず、事務局(消費者庁)が第1回検討会の取りまとめを行い、今回の議題とされている「摂取時の量とのかい離が生じる食品の取扱い」について、シンガポール、カナダ、イギリス、オーストラリアにおける表示例などの情報提供を行った。
かい離が生じる食品の例としては、販売時の状態から食品自体の栄養成分が変化する①「水で抽出する食品」(コーヒー豆)、②「水で塩抜きする食品」(塩蔵わかめ)、③「湯切りする食品」(カップ焼きそば)、他の食品を加えることによって栄養成分が増加する④「一般的に牛乳を加える食品」(ココア等)、⑤「調理方法を表示する調味料」(ホットケーキミックス)などがある。
海外の事例を参考に、委員からは①~③において前面栄養表示を許容した方がよい、④などのように1種類だけ別の食品(牛乳)を加える方が良い、複雑性がなければ多様性を考慮して幅広く前面表示を許容しても良い――の3通りの意見が出た。
次の議題「日本版放送前面栄養表示の様式」については、①栄養成分表示の義務表示に位置付けられている熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウムの5成分を対象とする、②それらの栄養成分の量を表示するだけではなく、栄養成分の量に加えて栄養素など表示基準値を活用して1日当たりの目安量に占める割合を表示する、③ある一定のルールを作る――という中間報告に沿って、事務局が消費者や管理栄養士、食品関連事業者に対して行ったインタビュー調査の結果を参考にたたき台を提案した。
事務局は、イギリスの表示スタイルを参考にしたデザインをデザイナーに依頼するとし、インタビュー結果に基づいてより分かりやすい検討案を示した。
「枠囲みなどパッケージ上の他の表示と区別する」、「白黒など淡色でデザインする」、「エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の文字を必ず含め、かつ含有量を表示するスペースを確保する」、「栄養素などの表示基準値に占める割合を表示するスペースを確保する」、「栄養素等表示基準値は18歳以上の成人の日本人の食事摂取基準が根拠となっているため、子ども向けの商品を取り込むか否か」――などについて、各委員が意見を出し合った。
議論の結果、我が国では栄養素表示基準値という表示となっており、海外のように1日当たりの必要量に対する割合が分かりにくいため、枠外にその説明を入れる。子供向けについては今回は見送ることとし、18歳以上の栄養素等表示基準値の定めのある成人を対象とする。食品単位はロゴの中に含めないが、近接箇所に明示する――などの意見をまとめた。
次回は11月に第3回会合を予定している。加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果を踏まえ、さらに議論を深める。
【田代 宏】
関係資料はこちら(消費者庁HPより)