交錯するサプリメントのアンチ・ドーピング情報

【解説】

 東京オリンピックを目前に控え、販売戦略の一環としてアスリートへのサプリメント提供を検討する企業では、サプリメントのアンチ・ドーピング認証に関する情報収集を急いでいる。しかし、業界内にはさまざまな情報が飛び交い、情報の取捨選択に頭を抱える関係者は多いようだ。

 

 サプリメント企業からよく聞かれる質問に「どこの認証がよいのか?」がある。結論から言うと、認証を選択する以前に、考えなければならない重要なことがいくつかある。サプリメントのアンチ・ドーピング認証を選択する際に、サプリメント企業にとっては利用者であるアスリートの視点で考えることが、“正解”への近道となる。

 第1に、アスリートが負うドーピング違反のリスクを考えると、禁止物質について分析対象となった製造ロットの商品を選択してもらうことが重要となる。認証には全ロットを分析するものと、いくつかのロットのみを分析するものがある。当然、全ロットを分析する認証の商品の方が安心して利用してもらえる。アンチ・ドーピング認証を選択する場合、まずはこの点を重視すべきと言える。

 いくつかの製造ロットのみを分析している商品について言えば、アスリートは認証機関のホームページで分析対象のロット番号を調べて、購入商品が該当するかどうかを確認する必要がある。間引いて分析する認証は低コストで済むため、多くの企業が利用しがちだが、商品を使用するアスリートにとっては購入(または使用)のたびに確認が必要となり、使い勝手は良くないだろう。

 第2に、認証マークをどう考えるのかも大切なポイント。一部の製造ロットのみを分析しているにもかかわらず、その商品全体に認証マークを付与する認証もある。このため、アスリートにとって、認証マークの有無だけで商品を選択することはリスクを拡大させることにつながる。繰り返すが、リスクをより低減させるためには、分析対象の製造ロットを確認し、当該ロットの商品を選択することがアスリートに求められる。

 第3に、米国のcGMPレベルの品質管理を行っている生産施設で製造された商品であるかどうかが重要となる。日本の健康食品GMPは、cGMPレベルと比べて厳格でないと言われている。禁止物質を分析する大前提として、その土台となる製造・品質管理がしっかりしているかどうかは極めて重要なファクターとなる。

 日本の健康食品GMPと米国のcGMPの大きな違いの1つとして、原料の同一性確認が挙げられる。日本の健康食品GMPの場合、全ロットの同一性確認を科学的手法で行うことは義務づけられていない。一方、cGMPではこれが義務づけられている。さらに、cGMPの場合、原料供給者の適格性を審査することも必須で、基準に合格した原料供給者でなければ購入できないなど、より厳しいルールが敷かれている。

 アスリートの視点から整理すると、(1)分析対象となった製造ロットの商品を選択、(2)認証マークの有無だけで商品を選ばない、(3)cGMPレベルの製造・品質管理を敷く工場で生産された商品を選ぶ――の3点を確認した上で、これらの要件を満たす商品を使用することが、ドーピング違反のリスクをより低減させるために必要となる。

 言い換えれば、サプリメント企業ではどの認証を選ぶかという視点よりも、まずはこれらの点を念頭に置きながら、サプリメントの製造・品質管理を行うことが重要となる。同時に、「cGMPレベルの品質管理か、もっと低いレベルの品質管理か」や「全ロットを分析か、それとも一部のロットのみか」など、アスリートに正確な情報を提供することがサプリメント企業の責務となっている。

【越中 矢住子】

 

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