栄養機能食品の表示・広告(前)

<(株)明治『明治ロコケア』のケース>

 保健機能食品制度のうち栄養機能食品ほど、本来の趣旨・目的を軽視して利用されている制度はないだろう。特定のビタミンやミネラルなどを補給するための食品であるが、各社の表示・広告からはその趣旨が伝わってこない。制度を不適切に利用しているのではないかと疑いたくなる表示・広告が横行しているようだ。

 栄養機能食品は、特定の栄養成分を補給するために利用される。1日摂取目安量に含まれる成分量が、国が定めた上・下限値の範囲内にあれば、栄養機能を表示できる。ビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類が対象となっている。栄養機能食品として販売する際には、国の許可や届出は不要だ。

 前述したとおり、栄養機能食品は特定のビタミンやミネラルなどを補給したい消費者に向けたもの。食品の1次機能(栄養機能:生命を維持するための栄養面での働き)を訴求できる。この点が、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品と大きく異なる。

 一方、各社の栄養機能食品の表示・広告を見ると、制度の目的から逸脱する傾向が著しい。その1例として、(株)明治の『明治ロコケア』を取り上げる。

 記者が6月上旬にスマートフォン上で確認できた『明治ロコケア』のウェブ広告は、無料体験キャンペーンの告示の後、「突然ですが最近、こんなことありませんか?」で始まる。ケース1「階段の昇り降りが気になる」。ケース2「ベッドや椅子から立ち上がるのが億劫だ」。ケース3「重たいものを運ぶのが面倒」と記載。年配者と思われる人が膝や腰を手で押さえる写真と一緒に表示されていた。

 これに続き、「もしかして・・それは筋肉量の衰えが原因かもしれません!筋肉量は加齢とともに低下してしまいます!」の文言が並ぶ。さらに、男女の年代別筋肉量率の平均を示すグラフを掲載。「明治ロコケアならミルクプロテイン(乳たんぱく質)を効率的に摂取できます!」とある。体内への吸収が速いことや、5種のビタミン・亜鉛が体内環境を整えることなどを標ぼうしていた。

 スマホのウェブ広告は、『明治ロコケア』が加齢に伴って衰える筋肉量を維持し、階段の昇り降りなどの動作を楽にしてくれるということを伝えたいようである。しかし、この製品はトクホでも機能性表示食品でもない。広告を隅々まで見ていくと、製品パッケージに「栄養機能食品(亜鉛)」と記載されていることに、ようやく気づく。また、製品パッケージ上でも、もっとも目立つ部分には「かしこく、たんぱく質 速攻吸収×体内環境づくり」と表示している。

 栄養機能食品(亜鉛)の場合、「亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です」と表示できる。栄養機能食品制度の目的からすると、『明治ロコケア』は亜鉛を補給したいと考える消費者に向けた製品である。しかし、スマホのウェブ広告を見る限り、同社はミルクプロテインの摂取によって、年配者の動作がスムーズになる機能性を伝えたがっているように見受けられる。

 消費者庁の「健康食品に関する景品表示法および健康増進法上の留意事項について」によると、栄養機能食品の場合、「国が定める基準に係る栄養成分以外の成分の機能の表示は虚偽誇大表示等に当たる恐れがある」としている。『明治ロコケア』のスマホのウェブ広告がこれに該当するかどうかは不明だが、消費者に伝えている内容は栄養機能食品(亜鉛)の栄養機能ではなく、ミルクプロテインの機能性であると言える。

 ではなぜ、『明治ロコケア』に栄養機能食品(亜鉛)の表示が必要なのかという疑問が湧いてくる。(株)明治に質問したところ、「一般論としてたんぱく質摂取の重要性を訴求したもの。『明治ロコケア』は、栄養機能食品としての規格基準を満たした製品であり、表示も適切に行っている」(広報部)との見解だった。

(つづく)

【木村 祐作】

 (後)

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