健康食品広告・表示の「判例」解説~つかれず事件(2)

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<販売会社に罰金20万円の判決>

 まず判決を見ると、第一審で裁判所は『つかれず』『つかれず粒』が医薬品に該当すると判断。X(販売会社)に罰金20万円、Y(Xの代表取締役)に懲役10カ月(執行猶予2年)および罰金20万円、Z(営業課長)に懲役6カ月(執行猶予2年)を言い渡した。Xら(X・Y・Z)は控訴し、控訴審は控訴を棄却。さらに、Xらは上告したが、上告審はこれを棄却した。

 次に、第一審で示された判断理由を見ていく。弁護人は、製品に客観的に薬としての効能が認められる場合でなければ、薬事法(現・薬機法)で定める「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されること」が目的とされているとは言えないと主張。その上で、『つかれず』と『つかれず粒』の主成分であるクエン酸は食品衛生法上、食品添加物とされており、あくまで「食品」である(客観的な薬効はない)ため、医薬品には当たらないと述べた。

 これに対し、第一審判決は、まず薬事法(現・薬機法)の目的に立ち返り、その目的は「国民の生命、身体に対する危害の発生を未然に防止し、国民の健康な生活の確保に資すること」にあるから、医薬品該当性の判断は「一般通常人の理解において合理的な判断がなされるべき」との考え方を示した。

 その上で、ある製品が医薬品に該当するかどうかについて、「医学的知識に乏しい一般人においてはその物の内容を識別して薬理作用の有無を判断することは不可能であり、専らその外観、形状、説明によってそれを判断する外はない」ことから、「その物が薬理作用上効果のないものであっても、薬効があると標榜することによる場合も含めて、客観的にそれが人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることを目的としていると認められる限り、薬事法第2条1項2号で言う医薬品に該当し、同法の規制の対象になると解するのが相当」と述べた。客観的な薬効がなくても、薬効を標ぼうすれば医薬品に該当し得るとし,弁護人の主張を退けた。

 以上を前提に、第一審判決は医薬品該当性の判断基準について、「その物の成分、形状(剤型、容器、包装、意匠など)、名称、その物に表示された使用目的、効能効果、用法用量、販売の際の演述など」を総合的に判断し、一般通常人の理解において、前述した目的(人または動物の疾病の診断、治療または予防)に使用されるものと認識され、または薬効があると標榜した場合には、医薬品として薬事法(現・薬機法)の規制の対象になるとの考え方を示した。

 

<総合的な判断の下、医薬品に該当>

 この判断基準を『つかれず』と『つかれず粒』に当てはめた場合、どうなるのか。『つかれず』と『つかれず粒』はいずれもクエン酸を成分、または主成分とするものであり、その成分自体からは「医薬品」とは認められない。

 しかし、その形状(『つかれず』は粉末、ビニール袋入り。『つかれず粒』は錠剤、ビニール袋・紙箱入り)や、薬効をうたっていることなどを総合判断すれば、「一般通常人の理解において、人の疾病(本件では高血圧、糖尿病など)の治療または予防に使用される目的を持つと認識されることが十分認められ、薬事法2条1項2号に該当する医薬品と認めるのが相当である」とし、『つかれず』と『つかれず粒』は医薬品に該当すると判断した。

(つづく)

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