山笠太郎の大冒険~管理職はつらいよ(前)

山笠太郎

<ドライブテクニックも人事考課の対象?>

 とある地方都市の運転免許センター。小生は年1回の割合で実施される運転管理者講習に参加していた。この手の講習は従来、総務課長か総務担当者の役割だったが、ここ数年、営業マンの違反・事故件数が増加しているという理由から、元バンカーである管理部門統括役員の進言により、支社長自らの受講が義務づけられるようになったのである(汗)。

 もちろん、その日はほぼ丸1日缶詰となる。内容は…大変申し訳ないのだが、運転免許更新のときの結構かったるい中身とあまり変わりがない。受講会場の席は3人掛けの机で、席次は受付順だ。受講生の10人に1人くらいが女性。おそらく総務・庶務担当の女性だろう。受付の県警天下りで60代とおぼしき係員が、「う~ん、この受付番号だと席が男性に挟まれちゃうから、カドの席に変更しましょう」と、女性受講者にはことごとく忖度・配慮しまくりで甘々な態度を示している。

 「男女比率が逆なら喜んで女性に挟まれて座らせてもらいますぅ~」と小生、心のなかで甘~くつぶやきつつ、静かに受付の列に並んだ。ところで、我が社は現在、全営業車にドライブレコーダーが設置されている。速度超過、危険運転を個別にチェックされ、年に2回、優良ドライバーコンテストが実施されている。

 成績発表と表彰式は、部長級以上が一同に顔をそろえる全国会議で行われる。個人賞はもとより、事業部・事業所ごとの団体表彰まである。部下の運転データーは毎日、部長と支社長のスマホに容赦なく飛んでくる…。来期からは飲酒運転チェッカーも導入されるらしい。飲酒はアウトだが、こういったドライブテクニックの評価も、次の人事制度改革で査定対象に組み込まれてしまうのだろうか?

 「いつから食品メーカーは運送会社になったっちゃろか?」と思うこともある。さらに夏休みや有休取得状況に至るまで、事業部・事業所ごとにまるで営業成績さながらのランキングが公表される。ドライブテクニックも人事考課の対象なんて、そんなアホな。

 ある日の夕方、小生はホステスとのデートの待ち合わせ場所へと急いでいた。歓楽街の近くにある百貨店の横を足早に歩いていると、どこかで見たことのあるオッサンが黄昏れた表情で歩いて来た。普段はスーツ姿でしか会うことがなかったものだから、あまりに普段着なポロシャツ(着古したゴルフウェア?)にジーパン姿というカジュアルな風体のため、うっかりやり過ごすところだった。目を凝らすと、なんと業界の雄であるチョメチョメ食品の早乙女支社長ではないか!

 「あれっ?早乙女さんじゃない。僕はこれから○×百貨店に行くところだけど、今日はどうしたの?」と、やましいことがあるときのおきまりで、聞かれてもいない自分の言い訳をつい口走ってしまった(苦笑)。

(つづく)

<プロフィール>

山笠太郎(やまがさ たろう)

 1960年生まれ。三無主義全盛のなか、怠惰な学生生活を5年過ごした後、大手食品メーカーにもぐり込む。社内では、山笠ワールドと言われる独特の営業感で今日に至る。博多山笠は日本一の祭りであると信じて疑わない。

/ (後)

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