イッパーツ(一発)合格? 受験生を狙う『リポビタンD』(後)

<消費者団体は“ハンパーツ(反発)!”>

 「集中力の維持・改善」をうたい、受験生をターゲットとする『リポビタンD』の広告をどう考えるか。各消費者団体に聞いた。

 (一財)日本消費者協会の松岡萬里野理事長は、「判断力に欠ける未成年者に、指定医薬部外品を売ることはまずい」と批判的だ。主婦連合会の河村真紀子事務局長は「個人的な意見だが、若い人たちは深く考えないで、たくさん飲めばより効くと思うだろう。1本当たりのカフェイン量がコーヒー1杯程度としても、100mlの量なので、たくさん飲むことができる。過剰摂取で体調を崩すことも考えられるため、受験生に推奨すべきでない」と話している。

 (一社)消費者市民社会をつくる会の阿南久代表理事も、「薬に準ずるものであり、取り過ぎた場合の影響が心配。1日1本としているが、受験生はお茶もコーヒーも飲むことを考えると、カフェインの過剰摂取につながりかねない」と懸念する。また、食の安全・監視市民委員会の神山美智子代表は、「サプリメントも未成年者を相手にしないのに、受験生への指定医薬部外品の販売は大手企業がすることではない」と断罪している。

<誤解を生む不適切な広告>

 『リポビタンD』の効能効果には、疲労の回復・予防のほか、体力、身体抵抗力または集中力の維持・改善などもある。このため、「集中力の維持・改善」の訴求は可能。ただし、15歳未満は適応外となる。

 医薬品医療機器等法に基づいて広告を取り締まる東京都福祉保健局健康安全部薬務課に、今回の広告に対する見解を聞いた。都では次のように説明している。

 「個別の案件については答えられないが、一般論として、15歳以上を対象とした製品で『受験対策』を標ぼうしているとすると、適応外の人も対象となり、そうした人にもあたかも使用を推奨していると誤解を生むような広告は不適切と判断している」。

 都の見解を今回のケースに当てはめれば、「受験には、集中力が必要だ」などと受験対策を煽った『リポビタンD』の広告は、高校受験を控えている人(14~15歳)や中学受験を控えている人(11~12歳)にも推奨していると誤解させる恐れがあり、不適切となる。

 若年者の消費者教育に力を入れる消費者庁にも見解を聞いた。今月23日の定例記者会見で岡村和美長官は、次のように述べた。

 記者:「受験対策を前面に打ち出した栄養ドリンク剤やサプリメントが販売されている状況を消費者庁としてどう受け止めるか」。

 長官:「(消費者庁では)バランスよく食事が取れる子供には、サプリメント等は必要ないとの考え方を示している。受験生やその保護者には、サプリメント等に頼るのではなく、受験生が万全の健康状態で受験に臨めるように、普段から食事・運動・休養を心がけてほしい」。

<製薬企業として健全な取り組みか?>

 機能性表示食品は未成年者を対象外としている。(1)未成年者は製品の購入・利用に係る判断能力が十分でない、(2)未成年者を対象とした安全性試験の実施は困難――という理由からだ。では、これらの点について、指定医薬部外ならば問題はないのだろうか。また、受験に効果的と暗示させるような広告によって指定医薬部外品を販売する行為は、製薬企業として健全な取り組みと言えるのだろうか。

 そうした点を大正製薬(株)に質問したところ、以下の回答が寄せられた。

 「『リポビタンD』の効能・効果の1つである『体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善』を用法・用量の範囲『成人(15才以上)1日1回1本(100mL)を服用』で、受験生にも広く知っていただき、受験を『健康』という点からサポートしたいと考えております。今後も、関連法規を順守したうえで、広報活動を行ってまいります」。

 栄養ドリンク剤の摂取の推奨が、なぜ、「受験を『健康』という点からサポート」することになるのか――理解に苦しむ説明だ。

 10代の子供たちを“栄養ドリンク漬け”にしないために、受験生を狙った不適切な広告の排除が求められそうだ。

(了)

【木村 祐作】

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