健康食品広告・表示の「判例」解説~セルナーゼ事件(6)

赤坂野村総合法律事務所 共同代表 弁護士 堤 世浩 氏

<医薬品とは…>

 薬事法(現・薬機法、以下「法」)13条は、「医薬品…の製造業の許可を受けた者でなければ…業として、医薬品…の製造をしてはならない」と規定し、医薬品製造業の許可を受けていない者が業として医薬品を製造することを禁じている。これに違反した者は「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処し、またはこれを併科」されるほか、法人も処罰される。

 法2条1項は、医薬品として次の3つを規定している。ある健康食品などが医薬品に該当するかどうかが問題となるのは、主に次の(2)と(3)である。

(1)日本薬局方に収められている物。

(2)人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具など(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム及びこれを記録した記録媒体)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く)。

(3)人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具などでないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く)。

 

<行政解釈>

 医薬品該当性の判断基準については、1971(昭和46)年に出された厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」まで遡る。通知は、本来はその形状、表示された効能効果、用法用量などからして医薬品とみなされるべき物が、食品という名目の下、医薬品に関する法規制を掻いくぐって製造・販売されている事例が少なからず見受けられることを背景に出された。

 この通知では、「医薬品の範囲に関する基準」、つまり医薬品該当性の判断基準について、次のような考え方を明確化した。

 「人が経口的に服用する物が…医薬品に該当するか否かは、医薬品としての目的を有しているか、または通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうかにより判断することとなる。通常人が同項第2号または第3号に掲げる目的を有するものであると認識するかどうかは、その物の成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠などをいう)、及びその物に表示された使用目的・効能効果・用法用量並びに販売方法、販売の際の演述などを総合的に判断すべきものである」。

 

<判例・裁判例>

 その後、下級審裁判例では、概ね前述の通知を踏襲した判断が行われた。最高裁判決もいくつか出たが、医薬品該当性の判断で「販売の際の演述・宣伝」まで考慮してよいかどうかについては明確にされず、否定説も有力であった。

 ところが、最高裁1982(昭和57)年9月28日判決(いわゆる「つかれず」事件)で、「同法(薬事法)2条1項2号にいう医薬品とは、その物の成分、形状、名称、その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において『人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている』と認められる物をいい、これが客観的に薬理作用を有するものであるか否かを問わない」と判断された。医薬品該当性の判断で、「販売の際の演述・宣伝」も考慮すべきことが明確にされたわけである。

(つづく)

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