健康食品広告・表示の「判例」解説~“バイブル本商法”事件(2)

赤坂野村総合法律事務所 共同代表 弁護士 堤 世浩 氏

<商品は薬事法上の医薬品に該当するか>

 裁判所は主な争点を次の3点であるとした上で、最終的には出版社のA社、A社代表取締役のB、編集担当責任者のCらを無罪(確定)とした。

(1)健康食品「甲」が薬事法上の医薬品に該当するか。

(2)仮に医薬品に該当するとして、本件書籍を書店で販売・陳列することが薬事法上、「甲」の「広告」に該当するか。

(3)仮に本件書籍の販売・陳列が「広告」に該当するとして、自ら販売・陳列をしたわけではないBとCを処罰してよいか(実際に販売・陳列したのは書店店員)。

 まず、「甲」は薬事法上の医薬品に該当するか、という争点について見ていく。裁判所は、「『甲』について見ると(中略)『甲』は400粒の錠剤が入った瓶のラベルにも、包装用の紙箱にも、効能効果の記載は一切なく、むしろ健康食品であるかの記載があり、この商品単体では医薬品とは言えないことは明らかである」とし、「甲」単体では医薬品には当たらないと認定した。

 その一方で、「本件書籍を見ると、<医師・研究者が認めた!私がすすめる『水溶性キトサン』>という題名であり、その多くの記載は水溶性キトサンに関するものであるが、特定の商品である『甲』の名称が何カ所かに登場し、その写真が掲載され、その製造販売会社であるD社の名称や連絡先(電話番号)までが記載されていること、また『甲』を摂取したことで、ガン、喘息、バセドウ氏病などの病気が治癒等した旨の体験談が記載されていることに照らすと、本件書籍は『甲』の能書きが直接的に記載されているわけではないものの、『甲』の効能効果を標ぼうしている書籍とみることができる」とし、本件書籍が「甲」の効能効果を標榜する書籍であることを肯定した。

 その上で、「例えば、D社が本件書籍を『甲』とセットで販売するなどしている実情があるとすれば、『甲』の販売に当たり、本件書籍でもってその効能効果を演述・宣伝していると解する余地がないではない(ただし、『甲』の販売と別個に本件書籍が販売等されているだけでは、双方のつながりがはっきりせず、特段の事情でもない限り、同様に解するのにはいささか無理があるだろう)。すなわち、『甲』と本件書籍の販売の仕方いかんによっては、『甲』が薬事法上の医薬品に該当する余地がなくはない」との考え方を示した。

(つづく)

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