健康食品広告・表示の「判例」解説~クロレラチラシ事件(3)

赤坂野村総合法律事務所 共同代表 弁護士 堤 世浩 氏

<第一審、優良誤認表示に当たると判断>

 優良誤認表示とは、実際のものよりも著しく優良であると誤認させる表示をいう。第一審は、研究会チラシが「著しく優良であると誤認させる」ものと言えるかは、「業界の慣行や事業者の認識ではなく、表示の受け手である一般消費者の認識により判断されるべきである」とし、一般消費者の認識が基準となることを明確にした。同時に、「著しく」とは、「当該表示の誇張の程度が社会一般に許容されている程度を超えて一般消費者の商品選択に影響を与える場合をいう」との考え方も示した。

 そして第一審は、「医薬品としての承認がされていない商品について、医薬品的な効能効果が表示されている場合…医薬品であるとの誤認を引き起こす恐れがある」と指摘。医薬品として承認を受けていない商品について医薬品的な効能効果があると表示することは、「優良誤認」表示に当たり得ることを認めた上で、「細胞壁破砕クロレラ粒等を服用したことにより『腰部脊柱管狭窄症』等の症状が改善したとの体験談を記載した部分については、人の疾病を治療または予防する効能効果があることを暗示するものであり、医薬品的な効能効果があると表示するものといえる」などと述べ、研究会チラシは「優良誤認」表示に当たると判断した。

 

<消費者契約法に基づく差し止め>

 第一審は、景品表示法に基づく差し止めを認容したため、消費者契約法に基づく差し止めの認否は判断しなかった。ここからは第二審について見ていく。

 第二審は結論から言うと、第一審判決を取り消し、X(適格消費者団体)の請求を棄却した。その理由は次の通りである。

 Y(健康食品製造販売会社)とa研究会(日本クロレラ療法研究会)は、第一審判決後、主に次の対策を講じた。

(1)Yの従業員全員がa研究会から退会した。

(2)a研究会の京都事務所をY本社ビル(使用料無償)からほかの場所に移転させた。事務所賃料はa研究会が自ら支払っている。

(3)a研究会が自ら事務所の光熱費、電話料金、人件費、サーバー管理費用などを負担している。

(4)a研究会の職員は専らa研究会の業務に従事しており、Yの業務には従事していない。

(5)a研究会は、消費者からの照会に対して、Y商品のみならず、他社のクロレラ商品も合わせて紹介するようになった。

(6)a研究会は2015年1月にチラシ配布を取りやめた。

(7)YがY名義で配布しているチラシには、15年6月29日以降、目立つ文字で「クロレラは医薬品ではありません」などと記載した。体験談も、健康習慣や生活習慣を記載するのみである。

(つづく)

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